私は入社当時、「接客くらいできるだろう」と考えていました。

普段からデパートやレストランを利用しますし、
ホテルや旅館にも泊ったことがあるので、
接客業というものがどんな仕事なのか予想もついています。

営業とかデザインの仕事となると
「自分には無理だ」と感じてしまいますが、
接客なら慣れれば自分にもできそうだと思ったのです。

研修後、私はフロントへの配属になりました。
初めてフロントに立った時は、
だいぶ顔がこわばっていたそうで
(私にはそんな記憶はないのですが)、
研修で教わっていたはずのチェックイン業務も
お客様を前にしてあたふたしてしまいました。
もちろん、先輩がさりげなくフォローを
いれてくれたのですが
(このことさえも私はよく覚えていません)、
このときばかりは自分を情けなく思いました。
同時に、先輩がやけに格好良くて偉大に見えました。

私たちは「知っているからできる」と
思い込んでいるときが往々にしてあります。
この思い込みはけっこう厄介です。
なぜなら「できる」と思い込んでいるせいで
学びがストップしてしまうからです。
その結果、怠慢になります。

先輩方はもっと細かいことに気を配っていて、
素人では気づかないようなプロフェッショナルな一面を兼ね備えているのですが、それに気がつきません。

私の失敗もこれが原因でした。
そのときはじめて「知っている」と「できる」はちがうということがわかりました。

それからというもの先輩方の姿を観察して必死に学びました。

 

いつもお客様を喜ばせている客室係

当社にはリピートのお客様から絶大な人気を得ている客室係がいます。

そのスタッフとお客様のやりとりを見ていると、話が弾んでいて楽しそうな様子です。お客様もまるでそのスタッフに会いに来たかのように嬉しそうです。

一度だけ、「どうしてそんなにお客様と楽しそうに話せるのか」と聞いてみると、お客様の話をじっくり聞いて自己開示をすることが大事だと教えてくれました。

もしかしたら「それだけ?」と思ったかもしれません。

でも、私も20年以上旅館で働いてきましたが、お客様の話を聞くというのは簡単なようで実は難しいことです。ただ単に聞くだけでは、お客様とのスキンシップは深まりません。適度な相づちやリアクションを入れて、話し手がもっと話したくなるように聞くことが大事なのです。

自己開示も、お客様によってどこまで開示すべきかどうかはケースバイケースです。

接客業には特にこの「さじ加減」が求められます。
さじ加減は実践の中でしか身につきません。
最初は難しく感じるかもしれませんが、実践を重ねれば確実に身についていきます。

「わかる」のステージから「できる」のステージへ上がっていきませんか?